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図解とチェックシートで確実に!退職手続きの流れと必要書類がすべて分かる完全まとめ

図解とチェックシートで確実に!退職手続きの流れと必要書類がすべて分かる完全まとめ

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「退職手続きってどう進めたらいいんだろう?」

「退職手続きには何が必要なの?」

そんな悩みを持っていませんか?

キャリアアップやライフステージの変化など、さまざまな理由から退職すると決めたものの、実際どのような手続きが必要なのかを知っている方は多くないでしょう。

令和元年に実施した厚生労働省の雇用動向調査では、日本国内に約5千万人いる労働者のうち、約780万人が離職(退職)しているとの統計が発表されました。

雇用動向調査による「入職者・離職者推移」

データ参照:厚生労働省による雇用動向調査「入職者・離職者推移のグラフ」

平成18年から平均して約15%の労働者が離職していることがわかりますが、この記事をお読みの方の中には「こんなに退職をしている人が多いんだ」と、改めて実感する方もいるのではないでしょうか。

そこで、今回はこれから退職の手続きを始めようと思っている方のために、退職するのに必要な手続きを始め、退職後に必要となる手続きまで詳しく解説していきます。

この記事のポイントまとめ!

  • 退職手続きスケジュール管理シートを活用して退職手続きを確実に進めよう!
  • 予定する退職日から逆算して2,3か月前から退職手続きを行う
  • 転職先が決まっていない場合、保険や税金に関して公的機関に手続きが必要
  • 「退職したいけど言えない!」という方には退職を伝える2つの方法がある

人生の一大決心でもある「退職」という道を選んだあなたのために、当サイトでは必要な手続きという面から全力でサポートいたします。

手続きの詳細よりも、「スケジュールや必要なものを確かめたい!」という方は下記のスケジュール管理シートをダウンロードして確認してくださいね。

退職手続きスケジュール管理シート

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記事制作

  • 転職arts編集部
  • 編集者
転職arts編集部は現役キャリアコンサルタントなど計10名によるメディア制作チームです。多くの求職者の相談に乗ってきた経験だけでなく、自身の転職経験も踏まえて、ユーザーの立場に寄り添ったコンテンツを目指して日々努力しています。
記事制作においては人材業界のプロフェッショナルとして徹底した検証・エビデンスの掘り下げを行い、中立性・納得感の高い情報を提供することをモットーとしています。

これで大丈夫!退職手続きと退職後の流れを図解でチェック

いざ「退職する」と決めたのなら、一般的な退職までと退職後の流れは押さえておきましょう。

退職手続きと退職後の流れ

多くの会社では、就業規則によって退職の1か月前までに退職の意思を申告することとなっています。ただ、現実的に1か月前にいきなり退職の申し出があったとしても、人員補充や引継ぎが完了しないというケースも少なくありません。

退職までの間、トラブルになることを防ぐためにも、余裕を持って退職を予定する2、3か月前には、退職の意思を伝えましょう。

退職手続きで最も重要なのはスケジュール管理

退職手続きで最も重要なのはスケジュール管理

労働者には、今働いている会社を退職する権利がありますが、会社に損害を与える形で退職するのは後味が悪いものになってしまいます。

特に、「キャリアアップを図るための退職」や「自分の夢を追うための退職」など、本来会社の方が応援してくれるような退職の際には、しっかりとしたスケジュール管理をして、スムーズにトラブルなく退職することが、退職後のモチベーションにも繋がります。

この章では、図解で示した退職までの流れをポイントごとに詳しく解説するので、参考にしてください。

2、3か月前:退職の意思を伝える、退職交渉を行う

退職すると決心したら、2,3か月前には退職する意思を上司に伝えましょう。退職について上司に相談する場合、直接口頭で伝えることが基本となります。

会社の就業規則で1か月前までに退職の意思を申告することとなっている場合でも、可能な限り早めに伝えておくことで、円滑な退職手続きができるスケジュールを組むことができるでしょう。

退職交渉では、退職日の設定や業務引継ぎのスケジュールなど、あなたが退職するまでに必要となる過程について話し合うことになりますが、しっかりと自分の意思を伝えることが重要です。

退職交渉時と交渉後に意識するポイント

  • 退職の相談ではなく、退職の意思を伝える交渉にする
  • 引き留めや慰留条件にグラつかず、退職の選択がベストであることを伝える
  • 希望する退職日を伝え、手続きや引継ぎがスケジュール上可能であることを明示する
  • 交渉後は手続きの進捗を上司に逐次確認する

退職交渉時や交渉後は、上記4つのポイントを意識して、あなたが希望する退職が実現できるように努めましょう。

1か月前:退職届(退職願)の提出、後任への引継ぎ

退職交渉で決定した退職日の1か月前には、退職届もしくは退職願を提出しましょう。

この2つの違いについては、後ほど詳しく解説しますが、一般的に会社が退職を承認している場合は退職願、退職交渉がうまくいっていない場合や退職を承認してくれない場合は退職届を提出します。

また、後任に業務引継ぎを行うのもこの時期で、引継ぎを万全に行うためにも、引継ぎノートや引継ぎ資料を作成するのが有効です。

仕事内容や手順、資料の保管場所や情報収集方法など、できるだけ詳しく記したノートや資料を作成し、これをもとにして後任に説明します。

ここで説明が漏れていると、退職後に業務確認の連絡が来ることも考えられるので、あなたの業務内容を網羅するよう丁寧な引継ぎが重要です。

引継ぎ漏れを防ぐためにも、簡単なチェックリストを作っておくと便利です。

当サイトでは、多くの方に対応する内容で簡易的な業務引継ぎチェックリストを作成したので、自分なりにアレンジして活用してください。

業務引継ぎチェックシート

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1、2週間前:取引先への挨拶、挨拶状の送付

退職日の1、2週間前には取引先へ挨拶に伺い、後任担当者の紹介を兼ねて退職する旨を伝えます。

また、遠方の取引先には挨拶状の送付を行って、担当者の誤認など取引先に迷惑がかからないようにしてください。

また、普段から付き合いのある方だけでなく、業務を通じて知り合った方や名刺を交換しただけという方にも挨拶状を送付しましょう。

こうした人脈というのは、退職後の第二の人生において思わぬ形で生かされるというケースも少なくありません。そのため、幅広い人脈に対してお世話になった感謝を込めた挨拶メール・挨拶状を送付することをおすすめします。

退職日(最終出社日):上司や同僚への挨拶、物品の返却と必要書類の受領

いざ、退職日(有給消化がある場合は最終出社日)を迎えたなら、最後にしっかりとしておきたいのが上司や同僚への挨拶です。

どんな理由で辞めるにしろ、挨拶もしないで辞めるのはマナー違反。これまでの退職交渉や引継ぎが最後の印象で全て台無しになってしまいます。

退職の挨拶は、特別な理由があって会うことができない場合を除き、直接口頭で感謝の意を伝えましょう。業務などの都合で直接会うことができない方に対しては、社内メールなどで退職する旨と感謝の言葉を伝えます。

また、退職日には会社に返す必要のあるものと会社から受領するものがあります。退職後に、また来なければならないとならないよう、しっかりとチェックしておきましょう。

退職日に会社に返却する必要のあるもの

  • 健康保険証
  • 社員証などの身分証明書やバッジ
  • ロッカーや机の鍵、会社の備品
  • 取引先から受け取った名刺
  • 社内資料や文書
  • 通勤定期券

退職に際して会社から受け取るもの

  • 雇用保険被保険者証
  • 離職票
  • 源泉徴収票
  • 年金手帳(預けている場合)
  • 退職証明書

返却物品、受領物品ともに、総務担当者や人事担当者に対して事前に確認を行ってください。特に、受領物品では、退職日に受領することができないものもあるため、後日郵送にて受領することについてもしっかりとした確認が必要です。

退職手続き

退職までの流れや必要なものについて解説してきまいたが、ご理解いただけましたでしょうか。

冒頭でも紹介したスケジュール管理シートを改めて紹介するので、必要に応じてダウンロードしスケジュール管理に役立ててください。

退職手続きスケジュール管理シートのダウンロードはこちらから

転職arts編集部
退職までの手続きも重要だけど、退職後にどんな手続きが必要かも気になりますね!次の章では、退職後に必要となる保険や税金の手続きを解説します!

退職後の手続きは転職先の有無で異なる

退職後の手続きは転職先の有無で異なる

退職日を迎え、今勤めている会社を晴れて退職することができたなら、次は退職後の手続きに移行します。

退職後、転職先に入職するまで1日でも間があれば絶対に必要な手続きです。ここで解説する手続きが完了して、初めて退職手続きが終わると言っても過言ではないので、忘れずに手続きを行いましょう。

退職後の手続きとして必要なのは以下の4種類です。

退職後の手続き

  • 雇用保険(失業給付金)の申請
  • 健康保険の変更手続き
  • 年金の切り替え手続き
  • 税金の確定申告

これらの手続きについてわかりやすく解説していくので、ぜひ参考にしてくださいね。

※重要!

退職した翌日に他企業へ転職(入職)する場合は、ここで紹介する手続きを自分で行う必要はありません。このような方は、転職先で手続きを代行してくれます。担当者に書類を渡して必要な手続きを行ってもらいましょう。

雇用保険(失業給付金):離職票が発行され次第ハローワークで申請

退職した後、次の会社に就職するまでの間、生活費などを雇用保険の失業給付金でまかなうというという話はよく聞いたことがあるでしょう。

ただし、失業給付金は誰でも受けられるわけではなく、以下の受給資格を満たしていることが条件です。

失業給付金の受給資格

  • 2年間に11日以上働いた月が12か月以上、雇用保険加入期間が1年以上であること
  • 退職して被保険者の資格を失ったことが確認できること
  • 失業状態であること(働きたい意思と能力があり就職活動を行っている)
  • ハローワークで求職の申し込みをしていること

雇用保険を受給するには、条件を満たしたうえでハローワークに必要書類を持参して手続きします。

ここで注意したいのは、会社都合退職と自己都合退職で受給開始日が異なることです。

会社都合退職の場合、手続き後7日間の待機期間を経ることで受給が開始されます。しかし、自己都合退職の場合は、申請後3か月間の給付制限を経て初めて受給が開始されます。

手続き開始退職した会社から送付される離職票を受け取り次第
手続きを行う場所住所地を管轄するハローワーク
必要書類・雇用保険被保険者証
・離職票
・個人番号確認書類
・身分確認証
・印鑑
・振込先口座の通帳
・顔写真(縦3cm×横2.5cm)

健康保険:3つの選択肢から変更手続きを行う

健康保険:3つの選択肢から変更手続きを行う

退職日の返却物として健康保険証がありましたが、退職することで現在加入している健康保険を脱退して、別の健康保険に入りなおすという手続きが必要です。

退職後の健康保険手続きには3つの選択肢があるのでそれぞれについて解説します。

退職後の健康保険手続きの選択肢

  • 任意継続被保険者制度を利用する
  • 国民健康保険に加入する
  • 親族の被扶養者になる

任意継続被保険者制度を利用する

会社で加入していた健康保険は退職の翌日に資格を失効すると決められています。しかし、これから再就職することを考えているのであれば、短期間のために国民健康保険に加入する手続きをするのは面倒だと感じるでしょう。

そんな時に便利なのが、最大2年間在職中に加入していた健康保険を任意継続することができる制度です。任意継続被保険者制度を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。

任意継続被保険者制度を利用できる条件

  • 加入していた健康保険組合に退職日の翌日から20日以内に申告する
  • 退職まで2か月以上健康保険に加入していた事実

任意継続被保険者制度を利用すると、病院に支払う医療費が従来通り3割負担となりますが、継続するために支払う保険料には注意が必要です。

これまで、保険料は会社とあなたが折半して支払ってきました。しかし、あなたはすでに会社に所属していないため、保険料の全てを自己負担しなければなりません。

便利な制度である一方で、保険料の支払いが増えるというデメリットもあることを頭に入れておきましょう。

手続き開始退職日の翌日から20日以内
手続きを行う場所加入していた健康保険組合
必要書類・任意継続被保険者資格取得申出書
・住民票
・印鑑

国民健康保険に加入する

任意継続被保険者制度を利用しない場合や退職から転職まで期間がある場合は、国民健康保険に加入する手続きが必要です。

先ほどもお伝えした通り、退職した翌日に保険者の資格を失います。万一、その日に事故や急病があった場合、無保険状態で医療費が10割負担となってしまうため、間をあけずに加入するのが基本です。

国民健康保険はあなたが居住する都道府県が保険者として運営している健康保険ですが、加入するためには自分から手続きをする必要があります。

また、退職から14日以内に申請することで、退職から保険資格取得の間に発生した医療費を遡って還付することもできるため、早めの手続きが重要です。

手続き開始退職後14日以内
手続きを行う場所市町村役場
必要書類・国民健康保険被保険者届出書(役場で受領)
・健康保険資格喪失証明書
・身分確認証
・印鑑

親族の被扶養者になる

親族の被扶養者になる

配偶者が健康保険に加入している場合や自分で国民健康保険の保険料を支払うのが厳しい場合は、親族の被扶養者となる方法もあります。被扶養者になると、扶養者が加入している健康保険に自動的に加入することになります。

被扶養者として認められる条件は以下の通りです。

被扶養者として認められる条件

  • 扶養者の収入によって赤経が維持されていること
  • 3親等以内で直系尊属・配偶者・子・孫・兄弟以外は同居していること
  • 年間収入が失業給付金を含み130万円以内

また扶養者の会社に被扶養者となる旨の手続きが必要です。被扶養者となる場合でも資格取得まで無保険期間となってしまうため、できるだけ早く申請しましょう。

手続き開始離職票が届き次第
手続きを行う場所扶養者の会社
必要書類・課税証明書や源泉徴収票
・離職票
・住民票
・身分証明書
・印鑑

年金:2つの選択肢から切り替え手続きを行う

年金と聞くと、手続きが中々わかりづらいイメージがあると思いますが、老後の生計を維持するためには重要となるものです。

日本に住む20~60歳の全ての人が国民年金の被保険者となっています。会社員の時は第2号被保険者に分類されていましたが、退職後はその分類を以下のどちらかへと切り替え手続きが必要です。

  • 第1号被保険者(自営業、無職)
  • 第3号被保険者(第2号の配偶者)

第1号被保険者(自営業、無職)への切り替え

会社を退職した後、自営業への転職や当面の間無職となるなら、第1号被保険者への切り替えとなります。

切り替えは市町村役場や年金事務所で行うことが可能です。第1号保険者の保険料は定額月16,540円となっており、毎月自分自身の手で支払いが必要となります。

手続き開始退職日の翌日から14日以内
手続きを行う場所居住する市町村役場か年金事務所
必要書類・年金手帳
・資格消失証明書
・離職票や退職証明書
・印鑑

第3号被保険者(第2号の配偶者)への切り替え

配偶者が第2号被保険者である場合は、第3号被保険者への切り替えが可能です。

第3号被保険者に切り替えるメリットは、配偶者が加入する年金制度で保険料を支払ってくれることです。つまり、自分自身で保険料を支払う必要はありません。

第3号被保険者になるための条件は以下の通りです。

第3号被保険者になるための条件

  • 第2号被保険者に扶養されている配偶者
  • 年収が130万円未満(失業給付金などを含む)

条件を満たしているなら、第2号被保険者の勤務先へ手続きすることとなるため、配偶者を経由して担当者に必要書類を提出しましょう。

手続き開始退職日の翌日から14日以内
手続きを行う場所配偶者の勤務先
必要書類・年金手帳
・国民年金第3号被保険者該当届
・住民票
・課税証明書、源泉徴収票

税金:所得税の確定申告と住民税の支払い

税金:所得税の確定申告と住民税の支払い

最後に、退職後に必要な手続きとして税金に関する部分の知識も必要です。

これまでは、会社に手続きを代行してもらっていた税金の手続きですが、退職後はその手続きを自分で行わなければなりません。

今回は、ほとんどの方が関係してくる所得税と住民税2つの税金について解説します。

所得税の確定申告

所得税は退職した年内に再就職したか否かによって対応が異なります。

  • 年内に再就職した場合:再就職先が年末調整をしてくれるため、特別な手続きは必要ない
  • 再就職が年をまたぐ場合:翌年の確定申告で、所得税の確定申告手続きを行う

このように再就職が年をまたぐ場合は確定申告によって所得を申告する必要があるので、覚えておきましょう。

所得税は、前払い方式の税金と言われており、昨年の年収に応じた税金を月々支払っています。年の途中で退職し、その年に再就職しない場合、所得は減少する人がほとんどのはずです。

払い過ぎた所得税は、確定申告によって還付を受けることができるため、必ず手続きを行うようにしてくださいね。

住民税の支払い

住民税は後払い方式の税金のため、再就職の有無に関わらず前年の所得に応じた金額を納入する必要があります。

基本、退職後は自身で納入する手続きを進めるのですが、退職した月によっては、前の会社が代行してくれるケースも存在します。

住民税の納入に関しては、まずは納付期間を理解することが重要です。住民税は6月から翌年5月までの12か月を納付期間としています。そのため、6月~12月と翌年1月~5月のどの時点で退職するかによって支払いパターンが異なるのです。

  • 6月~12月:最終給与で残額を一括天引き(特別徴収)または、分割してあなたが市町村に直接納入(普通徴収)
  • 翌年1月~5月:最終給与で残額を一括天引き(特別徴収)

6月~12月に退職すると、住民税の残額が大きいため一括天引きか分割して納入を選択することができます。

それに対して、翌年1月~5月は残額が比較的少ないため、会社から支給される最後の給与で一括して支払うこととなっています。

転職arts編集部
退職手続きの流れをしっかりと理解することができたでしょうか?次は、退職するときに提出が必要となる「退職届」について解説していきます。

退職するために提出する書類は「退職届」だけ

退職するために提出する書類は「退職届」だけ

退職手続きでよく聞く言葉として「退職届」と「退職願」があります。あなたはこの2つの違いをご存じでしょうか?

退職届と退職願いの違い

  • 退職届:会社に対して退職することを申し入れる書類
  • 退職願:会社に退職することについて許可を求める書類や行動

一般的に、退職する意思を伝える方法として必要なのは「退職届」です。

退職届が会社の意向に関係なく退職を申し入れるのに対して、退職願は退職してもいいかを確認する書類や口頭による伝達を意味します。

会社が退職に同意している状況であれば、意思を伝える方法として退職願でも構いません。ただし、会社が退職に同意していない場合などは、退職届を提出する必要があるので注意してください。

民法(民法第627条第1項)では、「雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。」と定められていますが、解約の申入れの日とは会社の退職同意状況や提出した書類の種類によって異なるので、覚えておきましょう。

また、就業規則などで退職1か月前までに申入れが必要と定められている会社でも、就業規則より民法が優先されます。ただし、できればこのような状況になる退職は避けた方がいいので、退職の流れの章でも解説したように2、3か月前から退職の準備を進めるのがベストです。

※あなたと会社の双方が対処に合意している場合は、会社が退職届や退職願の提出を必要としない場合もあります。このような場合は、書類の提出をした方がいいのか事前に担当者に確認しておきましょう。

本記事では、あなたの役に立つように「退職届」「退職願」のテンプレートをご用意しました。

退職届テンプレートのダウンロードはこちらから

退職届記入の注意点

退職届記入の注意点

退職届は会社に対して退職する意思を伝えます。そのため、退職したい日付をもって退職することを明記し、提出日や所属、氏名を記載して社長宛に提出します。社長の敬称は「殿」を使用するのが一般的です。

退職願テンプレートのダウンロードはこちらから

退職願記入の注意点

退職願記入の注意点

退職願は会社に許可を求める文書なので、退職届よりも柔らかな文章となります。退職日として設定したい日付と提出日を記載し、社長宛で退職の承諾が得られるよう提出しましょう。

注意!会社都合退職なら退職届を提出する必要はない

退職には、キャリアアップやライフステージの変化などを理由とした自己都合退職と、業績悪化や人員整理などの理由から退職を余儀なくされる会社都合退職の2パターンがあります。

もし、あなたが会社都合退職をしなければならない状況に置かれた場合、会社から退職届の提出を求められたとしても絶対に提出してはいけません。

自己都合退職と会社都合退職では以下のように保障が異なるので注意が必要です。

自己都合退職会社都合退職
失業保険支給開始日(最短)3か月7日後7日後
失業保険給付日数90日~150日90日~330日
失業保険最大給付額約118万円約260万円
失業保険給付制限ありなし
国民健康保険支払い通常通り納付2年間の軽減措置あり

会社都合退職を行うと、一定期間国からの助成金を受け取ることができなくなります。会社側は、このペナルティを防ぎたいがために、会社都合退職を自己都合退職と偽るのです。

しかし、会社都合退職であるにもかかわらず安易に退職届を提出してしまうと、労働者に多くのデメリットがあることを知っておきましょう。

もし「退職したいのに言えない!」という場合は要チェック!会社に退職意思を伝える2つの方法

もし「退職したいのに言えない!」という場合は要チェック!会社に退職意思を伝える2つの方法

「今勤めている会社を退職したい!」でも、上司が怖かったり、迷惑かけるのが嫌という理由で退職の意思を伝えられないという方もいるかもしれません。

そのような方は、直接退職の意思を話す以外にも退職意思を伝える方法があるので、参考にしてください。

普通郵便、内容証明郵便による郵送

退職届を受け取ってくれなかったり、退職に同意してくれない場合などは、一方的に退職届を郵送で送り付ける方法があります。

ただし、普通郵便で送ってしまうと、受け取った記録が残りません。内容証明郵便で退職届を郵送して会社に退職する意思を申告しましょう。

逆に、会社側が退職に同意しているときや郵送で提出してほしいとの意向があるときは、トラブルの心配がないため普通郵便で送っても問題ありません。

また、メンタルヘルスが原因の退職や入院など会社に出稿することが困難な場合は、会社から郵送するよう指示がある場合もあるので、自分の状況を鑑み柔軟に対応してください。

退職代行サービスの利用

退職する意思を伝えた労働者に対して執拗な引き留めがあったり、脅しや嫌がらせによって退職の意思を全く聞いてくれないような状況では、労働者が心理的に委縮してしまい、退職までの時間が長引くケースも少なくありません。

このような状況を打破して、スムーズな退職を実現してくれるのが退職代行サービスです。

退職代行サービスは、退職届を提出から有給の全消化、給料満額支給サポートなど、会社が簡単に辞めさせてくれないという悩みを持った方の代わりに、退職までの手続きを代行してくれるサービスです。

あなたが中々退職させてもらえないという状況に陥っているなら、弁護士や行政書士、労働組合が味方になってくれる退職代行サービスを利用するのも有効な手段でしょう。

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・退職代行数業界トップクラス
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まとめ:退職手続きの流れと必要書類を把握して、余裕を持ったスケジュールで進めよう

退職には、辞める前から辞めた後まで数多くの手続きが必要です。

手続きが難しいと感じるかもしれませんが、1つ1つが大切なものなので、焦らず着実に進めることが大切です。

転職arts編集部
この記事のポイントを再度まとめます!

記事のポイントまとめ!

  • スケジュール管理シートを使うことで、うまく退職までのスケジュールが組める
  • 会社に損害を与えないために、引継ぎを万全に行う
  • 退職後にも保険や税金で必要な手続きがある
  • 退職の意思を直接伝えづらい時は、他の方法で意思を伝えることができる

会社を辞めるということは、あなたの人生においてとても大きな選択です。ただ、退職する選択はベストでも、手続きが遅れてしまったり、間違えてしまっては元も子もありません。

ぜひ、この記事を参考にして、スムーズでトラブルのない退職手続きを進めましょう。

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